虚無の上澄み

旧枠モダンなど、カジュアルなMtG関係の日記(?)…のはずだったんだけどなあ…。

【旧枠モダン】第10回GP直前!直前準備号!

 モダンホライゾンが発売され環境が激変したのも気づけばもう2年半も前のことに。《起源》が跋扈し始め、それを咎めるかのように《稲妻の天使》を擁したトリコロールが瞬く間に三連覇の栄冠を手にしたことを、今でも手に取るように思い出せます。

 今年2021年夏、旧モ民が待ち焦がれたモダンホライゾン2が発売。前回同様、数多の再録によって環境は文字通り激動しました。

 

 土地基盤はズタボロにされ、ビッグアクションは咎められ、実用的な無限コンボがグッドスタッフから飛び出す。以前からは考えられないような魔境になり果てた感はありますが、そうした環境でもプレイヤーは創意工夫を凝らし、メタカードの再発見や再評価が行われてきました。

 今回はそうした最新の動きに改めて着目し、最終調整の一助となればと思います。お付き合いいただければ幸いです。

 

目次

1.頭角を現したデッキ

2.倒せ!Tier1!

3.全体の傾向

4.終わりに

 

1.頭角を現したデッキ

 まずは現環境のTier1と言える、いくつかのデッキのおさらいから始めます。

 

 小さな大会を含め、最も入賞報告が多いのはやはりカーミックボンバーでしょうか。新たに獲得した《霊体の先達》《ゴブリンの砲撃》無限コンボを組み込んだデッキで、上記無限コンボだけでなくエコーを逆手に取った《なだれ乗り》の使いまわしによる継続的なランデス、これまた新規獲得カードの一つである《帝国の徴募兵》によるシルバーバレット戦術と、グッドスタッフデッキとしての顔も持っています

 キーカードを多く含んだ赤白の2色に、サポートとして緑を足した3色で組まれることが多いです。緑を足すことで《エラダムリーの呼び声》が使えるのも嬉しいですね。

 

 ランデスにより相手の展開を遅延、その間にコンボパーツを揃えて無限コンボに到達する。理に適った動きをするデッキです。

 

 次に活躍しているデッキと言えば、やはりノワールでしょう。赤黒の物が頭一つ抜けているようなので、今回はそちらを紹介します。その名の通り、かつてODYブロック期のスタンダードで活躍したノワールと同系統のデッキで、《陰謀団の先手ブレイズ》を主軸にしたビート・コントロールデッキになります。ブレイズの性質上採用されているクリーチャーの大半はEtB、もとい187能力をもっており、アドバンテージ獲得手段の豊富なデッキと言えます。特に《骨砕き》シナジーが豊富な一枚。

 そしてこちらでも八面六臂の活躍を見せるのが《帝国の徴募兵》です。キーとなるブレイズだけでなく多くのカードにアクセスでき、肉が残るので生贄の頭数にもなります。ブレイズでのマナロックも一つの戦術ですから、相性のいい《なだれ乗り》は勿論《石の雨》すら飛び出してくることも。

 

 モダホラ2も初代同様モダンにも多大な影響を与えていますが、今回採録された《対抗呪文》もそんなカードの1枚と言えます。旧枠モダンも例外ではなく、パーミッション系のデッキの躍進が期待され、実際に青黒コントロールが勝ち上がる場面も。

 青黒コントロールと一口に言っても《冥界のスピリット》を採用した正統派のネザーゴーと、《激動》《ゾンビの横行》のコンボを用いた激動ゾンビの2種類がある様子。また、それらはしばしば折衷されています。

 豊富なカウンターに豊富な除去、そして一方的なフィニッシュ手段を安定してねじ込めることが強みとなっている様子。

 

▲目次に戻る

 

 

2.倒せ!Tier1!

 さて、いくらかの熱心なプレイヤーは自分に言われるまでもなく、先述の3つのデッキを仮想敵に据えていることと思います。それらを実際にどうメタるのが正解なのか?ここからはそれ考えていきたいと思います。

 

 まずは現環境最大のネック、土地破壊に対するメタとして再評価されているのが《聖なる場》です。特に赤黒ノワール相手には効果的で、ブレイズの能力を自分だけ無視出来る上に、赤黒という色の性質上対処される心配もありません。対して、カーミックボンバーにはそこまで有効とは言えないでしょう。土地破壊はあくまで搦め手であり、無限コンボの抑止にはつながらず、これの設置に1アクションを費やしている分最悪の場合単にテンポ損をするだけになる恐れもありますし、エンチャント対策は白緑の十八番。土地破壊にこだわっている場合でも容易に対処される可能性があります。

 ではカーミックボンバー相手には何が有効なのかと言えば、シンプルに墓地対策になるかと思います。何色でも使える《トーモッドの墓所が存在するのがありがたいですね。アドバンテージを失いたくないという我儘な方は《死体焼却》《地の封印》をどうぞ。

 他にも、コンボを止めることを考えるならサクり台を除去することも有効な手段の一つです。《解呪》帰化なら先達のキャストにスタック可能ですから、十分な抑止力が期待できます。

 

 さて、ノワール相手に有効とした《聖なる場》は白いカード。白くないデッキではどうするべきかを考えます。緑であれば、クリーチャーを残しつつ土地を伸ばしつつ生物を残せる《ウッド・エルフ》や癖は強いものの《エルフの開拓者》も一つの選択肢になるでしょう。また、ターンが返ってくる前に素直に除去してしまうのも有効な手です。赤ければ《稲妻》をはじめとした火力で、白ならば環境に増えてきた他のパワー2生物も睨める《今わの際》が優秀です。サクり台がなければ《霊体の先達》を追放できる点も見逃せません。逆に黒でブレイズを相手ターンのうちに対処できるカードと場面というものは非常に限られています。赤黒ノワールの赤黒というカラーの選択は、ミラーマッチでの"詰み"を避けるのにも一役買っている訳です。

 

 続いてパーミッション相手に有効なカードを考えていきます。単体除去に乏しかった青白であれば《樹上の村》をはじめとしたミシュラランドが有効でしたが、単体除去が豊富な青黒相手には同じようにはいかないでしょう。今回元祖である《ミシュラの工廠》を獲得していることもその傾向を顕著にしているように思います。

 恥ずかしながら自分は対パーミッションを考えるのが非常に苦手です。その上でソーサリータイミングで動くデッキを好むので、対策として《防御の光網》を用いることが多くなりました。

 デッキ同士のぶつかり合いで考えるととてもやりにくいので、向こうのフィニッシャーをどう潰すのかを考えることとします。《冥界のスピリット》相手であれば墓地対策が候補に挙がりますが、対して《ゾンビの横行》相手には何が効果的でしょうか。《激動》とのコンボを考えれば展開されるパーマネントを減らしたり、そもそも十分な手札を与えないようにすることが考えられます。愚直な策ではありますが、火力数発の圏内までライフを削っておくことも悪くないでしょう。

 

▲目次に戻る

 

 

3.全体の傾向

 最後に、その他のデッキも見据えた全体の傾向を考えたいと思います。

 

 まず着目したいのは、クリーチャーサイズの低下です。上記3つのデッキも例外ではなく、全体的に2/2以下の小粒なクリーチャーが環境に増えているように感じます。それだけ《帝国の徴募兵》は強力な1枚であり、採用しているデッキのランデスが苛烈極まり、大型生物の人権を奪うのには十分だったということなのでしょう。結果として、身を守る手段としての全体除去も《紅蓮地獄》のようなカードで事足りるのではないでしょうか。一部のコンボ的な動きを除けば、戦場を闊歩する大型生物というのはなかなかお目にかかれなくなってきています。

 

 また、パーミッションが《激動》を手に入れたことで《起源》系のデッキ自体を持ち込むことが憚られつつあるように見えます。そもそも土地破壊を連打されるだけで大きく後手に回るデッキですから、そこの弱体化は必然だったのかもしれません。

 

 その一方で、ウィニー系のアグロデッキは全体的に見落とされているように感じます。確かに強化された点こそ少ないものの、《サルタリーの僧侶》《ヴェクの聖騎士》をはじめとした対処されにくいクロックは、クリーチャーの小型化が進む環境では大きな脅威となるはずです。《ネビニラルの円盤》の登場も重要で、火力を擁した赤系のアグロが使い勝手のいいリセットボタンを手に入れたことは単純に脅威となるでしょう。

 

 現段階ではそうしたアグロ系デッキは多くのプレイヤーの盲点となっているようですし、もしかしたらメタ外から現れて颯爽と勝ちをさらっていくかもしれませんね。そして、土地破壊の苛烈さにより目立たなくなってきましたが、依然として、むしろ以前よりも凶悪な置物が増えています。自身のデッキにとって致命的なものの把握も重要です。

 

▲目次に戻る

 

 

4.終わりに

 トップメタとなるデッキから逆算して、メタカードの紹介や環境の傾向を振り返ってみました。新興のデッキの活躍が目立つ環境ではありますが、モダホラ2以前、以降あわせてまだまだ沢山のアーキタイプが存在する本家モダンさながらの多様な環境であると言えます。記念すべき第10回の栄冠に輝くのはどんなデッキか。勝負の行方から目が離せませんね。

 

 それではまた!

 

▲目次に戻る