虚無の上澄み

旧枠モダンなど、カジュアルなMtG関係の日記(?)…のはずだったんだけどなあ…。

【旧枠モダン】エヴィンカー決定戦 観戦レポート

 さる10/18(日)、東京某所にておよそ半年ぶりとなるGP旧枠モダンが開催されました!このレポートで当日の熱狂が少しでもお伝えできればと思います。

 

 前回同様16人での開催となった第9.9回GP旧枠モダン、題してエヴィンカー決定戦そこに持ち込まれたデッキはなんと13種類!いつも通り、多様なデッキが居並ぶバラエティに富んだ大会となりました。その内訳がこちら。*1

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名実共に"トップメタ"

 

 モダホラ発売直後の注目デッキであったゴブリン起源コントロール白青ウィニー青白コントロールはそれぞれ一名の使用に留まりました。しかし、驚異の二連覇の立役者であるトリコロールに根強い支持のあるバベル、そして緑白ビートダウンがそれぞれ二人となりました。また、リピーターである参加者の多くは以前持ち込んだ物に調整を加えての参加が多かったようです。

 興味深いのはモダホラ以前の有力アーキタイプの一つであったステロイドの消滅でしょう。赤緑と言うカラー自体はランデスとして残ってこそいるものの、モダホラ以後のGPではステロイド自体はまったくと言っていいほど見かけなくなりました。以前ステロイドを使用していたプレイヤーに話を伺ったところ、モダホラ以後に得たものの少なさが遠ざける要因とのことでした。アグロをやるなら分かりやすく強化されたゴブリン白青ウィニーの方が選択されやすいと言うのは間違いなさそうです。

 とは言え、昨年夏のGP千葉のサイドイベントでは《暴走するヌー》を採用し《花の壁》を突破しやすくしたタイプが結果を残しており、完全に消滅したわけでもない様子。強化の有無に関わらず、今後の動向に注目ですね。

 

 いないデッキの話はここまで、ここからは当日の顔ぶれから現在の旧枠モダン環境を考えてみたいと思います。

 まずは名実共にtier1と言えるトリコロールから。今回持ち込まれた二つは《稲妻の天使》をメインのアタッカーに据えたカウンターバーンと言う点は共通していたものの、システムクリーチャーの選択をはじめとして細部は大きく異なっていました。

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文字通り《恐怖》するもの等ない

 しかしなぜここに来てトリコロールが台頭したのか。黒いデッキが減るのにあわせて《恐怖》等のサイズ不問の除去が減り、除去の標準が《稲妻》と《神の怒り》で定着したことで《稲妻の天使》の評価が上がったことが一つの理由と考えられます。《稲妻》一枚では落とせず、《神の怒り》を打たれる前には一仕事されている。環境柄対処されにくくなっている《稲妻の天使》を、カウンターやバウンスを用いてそれ以上の脅威を排除することでバックアップ。その戦術はまさに理に適ったものと言えるでしょう。

 そんなトリコロールの二連覇を受けてか、その存在を意識した調整を施されたデッキが多かったように感じました。

 

 そうした中目立っていたのが、《墓穴までの契約》を主軸とした黒緑コントロールでした。黒をメインに据えることで得られる優秀な除去の数々は、環境から黒が姿を消しつつあることもあって多くのプレイヤーの意表を突く形にもなっていたように感じます。BGと言う旧モでは扱いの難しいカラーながらも見事SEへとコマを進めていたことは、今後の環境に少なからず影響を与えることになりそうです。

 

 黒い除去はそびえたった二つのタワー、バベルにも。しかし面白いのはやはりそれぞれのアプローチの違いで、それは《不気味な教示者》の採用の有無にも現れていました。

 かたやオーソドックスなドロマーカラーのコントロールデッキ3点のライフと1ターンはコストとして無視できないと判断されたようで不採用に。もう片方は起源を用いる構築となっていて、《機知の戦い》をサーチするだけでなく《胞子カエル》をはじめとした様々なクリーチャーを《エラダムリーの呼び声》等とあわせてサーチする役割を担っていました。

 《不気味な教示者》の獲得はバベルの強化になるのではと目されていたわけですが、その評価や使われ方は想定とは大きく異なっていたのではないでしょうか。

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3点の代償は大きいか?

 

 ここの所はプールの変化に乏しかった旧枠モダンでしたが、新カードの評価やメタるデッキの変化など。環境の解析と推移がしっかりとあることが伺えます。

 

 

 さて、そんな混沌としたメタゲームを制し栄冠に輝いたのはまたもトリコロール!もち饅頭氏の三連覇と言う結果に。そして驚くべきは決勝がトリコロールミラーであったと言うことです。名実共にTier1なのだと証明する形になりました。

 

 旧枠モダンは確かに積極的に人に勧めるものでもないと感じることは多いです。しかし、多くの人が思う以上にしっかりとMtGをしていて、ちゃんと面白いゲームなんだと実感できる、そんな決勝でした。一進一退の攻防を見守る観衆からも熱気が感じられるほどで、前回に引き続き不参加なのは本当に勿体ないことをしたとさえ思います。決勝や準決勝だけじゃない、予選ラウンドの一戦一戦だって見逃せるものではありません。どんなデッキが、どんなカードが人気でどういうアプローチを仕掛けてくるのか。まだまだ分からないことだらけです。

 新しいプレイヤーに、新しいデッキ。そして昔からあるデッキの新しい挑戦。今は比較的穏やかな時期ではありますが、それでも何かしら動いているのが旧枠モダンの魅力と言えるでしょう。来年のモダンホライゾン2で巻き起こる"激動"がどのような物になるのか?そちらにも期待が高まりますね。旧枠モダンは、きっとまだまだ面白くなる!そう思わずにはいられません。

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来たりして…

 

 それではまた、第10回GP旧枠モダンでお会いしましょう!

*1:こちらの円グラフはちゃちゃっと様提供の円グラフジェネレーターで作成いたしました